従業員を思いやりのある話し方に変える方法

コミュニケーション

従業員を思いやりのある話し方に変えることで未然に防げることがあります。離職の原因の大半は「人間関係」です。そしてその人間関係を作っているのがコミュニケーションです。口は禍の元、本当にその通りだと思います。聞き手のスキルも大切ですが、まずはお互いが思いやりを持って話せるようになれば「人間関係の事故」は防げます。私たちキャリアコンサルタントが習う知識の中に「アサーション」というものがあります。アサーションに関して仲間とディスカッションし、結局「思いやりをもったコミュニケーション」にとって何が重要なのか気が付いたことを記していきます。

どうして人は思いやりがない発言をしてしまうのか?

時々「え?!今、それ言っちゃう?」ってシチュエーションありますよね。いつもは普通に違和感なく話せている人が急に攻撃的、批判的発言をしたりすると驚きますよね。どうして人は時にこうなってしまうのかというと「自己防衛」のための事が多いです。

コミュニケーションにおける「自己防衛」とは?

人には自分が傷つかないように自分を守るための本能が備わっています。転んだ時に手が先に前に出るように、心にも同じ機能がついています。自分の心を守るためにも批判したり、否定したり、非難したりして自分の考えを守ろうとすることは誰もが自然に行っていることです。

自己防衛が人を傷つける理由

どうして自己防衛が他人を傷つけてしまうのかというと「価値観の違い」が理由です。例を挙げてみます。会社員のAさんは新人に対して厳しいと有名でした。とくにプライベートが充実していて定時退社する女性社員には語尾もきつく、周りの人は「きっと彼氏がいないやきもちだ」と噂をしていました。とうとう人事担当者はAさんを呼び注意をすることにしたのですが、そこで意外なことが判明しました。Aさんの姉は昔から要領がよくAさんは常に比較され劣等感を持っていたこと、だからこそたくさんの努力をしてきたこと、仕事はたくさんの努力をすべきという価値観を持っているということが分かりました。だから適度に仕事をして帰る新人は「仕事をしていない」と思っていることが判明しました。

人の考え「価値観」を他人は変えられない

このような場合人事担当者はどうすればよいのでしょうか。新人にもっと仕事をしろというのか、Aさんに新人の価値観を理解しろというのか、しかし、人の考え(価値観)は変えることはできません。そこで大切なのは従業員に「そこにイラっとしてしまう(心がざわつく)自分がいる」ということを知っておいてもらうことです。

自己理解が重要

自分がどこでイラっとするのか、どこで心がざわつくのかを把握しておいてもらうだけでコミュニケーションは変わっていきます。Aさんの場合は上記したような人が現れた場合に自分の価値観を守るため(自己防衛)でついつい攻撃的なコミュニケーションをとってしまいます。自分の心がざわついた時にとっさに「またイラっとした」と感情に客観的に気が付いて、その理由が瞬時に思い出せることで、誰もがこの件でイラっとするわけではなくて、私だからこそイラっとしてしまったわけで、、、、と<起こった事象>と<自分の感情>を切り離して冷静に対応する余裕が生まれます。

アサーションはスキルとして身につけよう

この冷静さを保てた瞬間にアサーションのスキルを使用します。アサーションのスキルはこの自己理解の上に初めて成り立ちます。まずは自分がどういったときにざわつく(こころが揺れる:怒り、悲しみ、落胆 等)のか、自分がどんな価値観を持っていて、それが形成された理由、どんな時に自己防衛に走るのかを知ることがコミュニケーションスキルの習得よりも重要です。